――名機を使い続けるべきか、悩んだ末の結論
iPhone 13 miniは、完成度の高い端末だ。
サイズ、性能、完成度。そのバランスはいまなお評価が高い。
2025年のiPhone17が発売された今でも、
「このままiPhone 13 miniを使い続けるべきか」
と悩む人が一定数いるのは、自然なことだと思う。
筆者自身も、まさにその一人だった。
前回の記事で、Pixel 10 Pro Foldが持つ「減らす思想」について触れた。
それを踏まえて、いま僕が向き合わなければならない結論がある。
それは、長年愛用してきた iPhone 13 mini との別れだ。
今回はそこに触れていく。
なぜiPhone 13 miniを選んでいたのか
筆者はこれまで、iPhone 13 miniを約4年ほど好んで使ってきた。
理由ははっきりしている。
ロードバイク、ランニング、登山といったアクティビティを行う際には、
「大きくないデバイス」こそ正義だと考えていたからだ。
- ポケットに収まる
- 手に持っても邪魔にならない
- 動いていても存在感が薄い
iPhone 13 miniは、アクティビティのお供として理想的なサイズだった。
登山で感じた「致命的な違和感」
転機は、登山だった。
筆者の場合は日帰りでも行動時間は長くなる。
甲斐駒ヶ岳ピストン、蝶ヶ岳〜常念岳周回など深夜から登山開始して10時間近く活動している。
その際のマップ、写真や動画撮影、Stravaでのログ取得、SNSアップなど、
登山におけるスマートフォンの役割は想像以上に重い。
そこで気になり始めたのが、
- バッテリー持ち時間
- 充電手段
だった。
iPhone 13 miniは、サイズ相応にバッテリー容量も小さい。
行動時間が伸びるほど、「この残量で本当に大丈夫か?」
という不安が常につきまとうようになった。
小さい端末なのに、荷物が増えるという矛盾
バッテリーが持たないことで、
結果として モバイルバッテリーや充電ケーブルを持ち歩く必要が出てくる。
本来は、
「小さい端末で、身軽に動きたい」
という目的で選んだはずだった。
だが現実には、
- 端末は小さい
- しかし荷物は増える
- ケーブルも増える
- 管理するものも増える
という、本末転倒な状態になっていた。
登山という文脈では、
この矛盾が次第に無視できなくなっていった。
Lightningという「もう一つ増える持ち物」
さらに地味だが確実に効いてきたのが、充電端子の違いだ。
登山では、できるだけ持ち物を減らしたい。
- モバイルバッテリー
- ケーブル
- 予備装備
ここに、
Lightningケーブルを一本だけ追加する必要がある。
USB Type-Cで統一できるなら、ケーブルは1本で済む。
だが、iPhone 13 miniがあることで「例外」が増える。
バッテリー不足
→ モバイルバッテリー追加
→ Lightningケーブル追加
→ 管理対象が増える
この連鎖が、少しずつストレスとして蓄積していった。
年齢とともに変わった「見やすさ」の価値
もう一つ、無視できなくなってきた理由がある。
それは、視認性だ。
年齢を重ねるにつれ、正直なところ老眼気味になってきた。
屋外の強い日差しの中で画面を見る場面では、
「見えづらい」と感じることが増えてきた。
これは性能の問題ではない。
身体の変化の問題だ。
以前は、
- 小さい端末=正義
- 大画面は贅沢
そう考えていた。
だが、登山やランニングなど屋外利用では、
画面が大きいことは安心につながる。
- 地図が一目で把握できる
- 文字を無理に凝視しなくていい
- 操作ミスが減る
疲れているときほど、
「大きく、はっきり見える」ことの価値は大きい。
非日常より、日常に合っているかどうか
さらに振り返って気づいたことがある。
それは、使用頻度の問題だ。
登山は月に数回あるかどうかだが、
通勤はほぼ毎日発生する。
つまり、
スマートフォンを最も長く使う場面は「日常」だった。
おそらく、多くの人にとっても「登山」より「通勤」の方が、
スマートフォンを使う時間は圧倒的に長いはずだ。
通勤中の、
- ナビ
- 乗り換え確認
- メッセージの確認
- 情報収集
- 音楽・動画視聴
こうした場面で、
iPhone 13 miniは必ずしもフィットしているとは言えなかった。
小さい画面は取り回しはいいが、
- 情報量が少ない
- 文字が見づらい
- 画面を何度も切り替える必要がある
結果として、
使っていて疲れる場面が増えていた。
登山という非日常では気にならなかった違和感が、
通勤という日常では、確実に積み重なっていた。
端末は「一番使う場面」に合わせるべきだった
ここでようやく腑に落ちた。
- 登山に最適かどうか
- 特定のシーンで便利かどうか
それ以上に、
「一番使う時間帯に、無理がないか」
これこそが、
端末選びで最も重要だった。
iPhone 13 miniは、
特定の場面では理想的だった。
だが、
毎日の通勤という文脈では、
少しずつ無理が出始めていた。
AIという観点で感じた、もう一つの決定打
そして今の時代にはさらに見逃せない違いがある。
それは AI機能 だ。
iPhone 13 miniが登場した当時、AIは
「写真の補正が賢い」「音声認識が正確」
その程度の存在だった。
もちろん、iPhone 13 miniも十分に賢い。
だが、2025年の今の基準で見ると、正直に言って AI体験は弱い。
例えば、
音声入力や要約
写真の後処理や不要物の除去
日常的な検索・調べ物の補助
行動ログや通知の文脈理解
こうした部分で、
Pixel 10 Pro Fold+GoogleのAI(Gemini)との体験差は想像以上に大きかった。
特に感じたのは、
「調べる」「考える」「まとめる」
といった 軽い知的作業 が、
Pixelでは“考えなくても前に進む”感覚になることだ。
一方で iPhone 13 mini では、
アプリを切り替え
検索し
読んで
整理する
という 一手一手の操作 が必要になる。
これは致命的な欠点ではない。
だが、日常で何度も繰り返す作業になると、確実に差として積み重なっていく。
「miniである必要がなくなった」という気づき
こうした積み重ねの中で、少しずつ気持ちが変わっていった。
- 本当に小さいサイズである必要があるのか?
- その代わりに失っているものは何か?
- いまの自分の使い方に合っているのか?
そして、気づいた。
「miniであること」自体が、目的ではなくなっていた。
iPhone 13 miniが悪くなったわけではない。
自分の価値観と前提条件が変わっただけだった。
手放すという決断
最終的に、筆者は iPhone 13 mini を手放すことにした。
それは、
- Appleを否定したからでもなく
- 名機を軽んじたからでもなく
- 流行に乗ったからでもない
「端末を今最も信頼している相棒に一本化したい」
それだけの話だ。
予備、サブ、保険――
そうした曖昧な役割を持つ端末を持ち続けることが、
むしろ判断コストになっていると気づいた。
名機かどうかではなく、「今の自分に合っているか」
2025年の今でも、
iPhone 13 miniを使い続ける価値は十分にある。
だが、
- 行動時間が長くなり
- 持ち物は減らしたくなり
- 視認性の重要度が上がり
- 判断をシンプルにしたくなった
今の自分にとっては、
最適解ではなくなった。
それだけのことだった。
次につながる話
iPhone 13 miniを手放したことで、
改めて考えるようになった。
「では、アクティビティのお供として
本当に信頼できる相棒は何なのか?」
次回は、
Pixel Foldをメインに使う中で、
Pixel Watchがどんな役割を担うようになったのかについて書く予定だ。