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Pixelを使ってわかった、iPadの思想と折りたたみスマホの思想の決定的な違い

今回は筆者がPixel 10 Pro Foldを入手して3ヶ月使ってみて気がついた折りたたみスマホと、iPadの決定的な違いについて書いていく。

正直、購入当初は「高いし、iPad mini+普通のスマホで十分では?」と思い、即売却も考えていた。

だが、3ヶ月使ってみてその考えは大きく変わった。


はじめに:これは性能比較の話ではない

筆者は2022年発売のiPad Pro M2チップ搭載のものを所有しており、
自宅から職場への往復でカバンに入れて持ち歩いている。
性能面だけを見れば、iPad Pro M2は今でも圧倒的で、Pixel 10 Pro Foldも日常用途では不満はない。
いわばiPad ProもPixel 10 Pro Foldもどちらも夢の詰まった優秀な情報端末だ。

両者を簡単に比較すると以下の整理となる。


Google Pixel 10 Pro Fold (Tensor G5搭載)

2025年10月9日発売 

  • 特徴: スマートフォンとしての機能(通話、携帯性)と、広げた際のタブレット的な大画面(8インチ)の両立が最大の魅力。IP68の防塵防水性能を備え、耐久性も向上。
  • 強み:
    • 携帯性: 折りたためるため、バッグの中でも場所を取らず、常に持ち歩けるメインデバイスになる。
    • カメラ: フラッグシップ級のトリプルカメラシステム(広角、超広角、5倍望遠)を搭載しており、iPadのタブレットカメラよりもはるかに高性能。
    • AI機能: Tensor G5チップにより、高度なオンデバイスAI機能(リアルタイム翻訳、写真編集など)が利用可能。
    • マルチタスク: Android 16のウィンドウマルチタスク機能により、アプリを柔軟に配置して効率的に作業可能。
  • 考慮点: バッテリー容量は大きいですが、充電速度は最新の競合他社と比較して遅め。また、パフォーマンスは高いものの、iPad Pro M2のM2チップほどの絶対的な処理能力はない。 

Apple iPad Pro M2

2022年10月発売

  • 特徴: 強力なM2チップとiPadOSにより、動画編集ソフトFinal Cut Proやイラスト制作アプリProcreateなど、クリエイティブなプロ向けアプリが充実している点が特徴。
  • 強み:
    • パフォーマンス: M2チップは非常にパワフルで、高負荷な動画編集や3Dグラフィックスの作業もスムーズにこなせる。
    • アプリエコシステム: タブレット向けに最適化されたアプリが豊富に揃っており、特にプロのクリエイティブ作業に適している。
    • ディスプレイ: Liquid Retina XDRディスプレイ(12.9インチモデルの場合)は発色が非常に良く、リフレッシュレートも最大120Hzと高性能。
  • 考慮点: 携帯性はPixel Foldに劣り、常にバッグに入れて持ち歩くにはかさばります。また、カメラ性能はスマートフォンには及ばない。 

こうやって整理すると、得意分野や使用場面といった領域がちょっと違うなということが見えてくる。

つまり、iPadと折りたたみスマホは、まったく違う思想の上に立っているという事実だった。

Pixel 10 Pro Foldをメイン端末として使い続ける中で、以下の通り、それれの思想の違いに気づいた。


iPadが描いている世界

――「パソコンを持たなくていい未来」

iPadの思想は一貫している。

多くの人は、もうパソコンを持たなくていい

大画面、キーボード、ペン、マルチウィンドウ。
iPadは「PCの代替」になることを前提に進化してきた。

書く、編集する、作る、まとめる。
iPadは、こうした作業を1台で完結させる思想で作られている。

この思想は、とても強い。
実際、PCを持たずにiPadだけで生活している人も多い。

ただし――
ここで一つ、前提がある。


iPadの世界では、スマホは別で必要になる

iPadはPCを置き換える。
だが、スマホを置き換えない。

通話、通知、カメラ、移動中の情報収集や調べ物など、
これらは依然としてスマホの役割だ。

つまり iPad の思想はこうなる。

PCは不要になるが、
スマホは別に持ち歩く世界

結果として、

  • iPad + スマホ
  • 2台持ちが前提
  • 移動時にカバンが必要
  • 移動時に座席に座れたら開く程度
  • 充電管理も2系統

「今日はiPadを持つか?」という判断が日常に発生する。


Pixel 10 Pro Foldの思想

――「従来のスマホを拡張する世界」

一方で、Pixel Foldに代表される
折りたたみスマホの思想は、まったく逆だ。

スマホは絶対に持つよね?
じゃあ、それを広げればいいじゃない

ここでは、スマホが主役であり続ける。

  • 常時携帯
  • 通知も通話も即応
  • 開けば情報量が増える(大画面、または同時にアプリ2つ起動)

スマホであることを捨てない。

  • ポケットからすぐに取り出せる

その結果、起きる変化はこうだ。

タブレットが不要になる


移動時の持ち物を「足す思想」と「減らす思想」

この違いを一言で言うなら、こうなる。

  • iPad
    足す思想
  • 折りたたみスマホ
    減らす思想
観点iPad折りたたみスマホ
起点PC的スマホ的
必須端末スマホスマホ
追加端末iPadなし
持ち物増える減る
判断持つか考える考えなくていい

※ちなみに先日九州出張に行く機会があり、飛行機の持ち込み手荷物の重量増を考慮した際、iPadProとキーボード合わせると1kg近くなるため持っていくのを断念した。
このとき実感したのは、iPad Proは「持っていくかどうか」を毎回考えさせる端末だということだった。
しかしPixel Foldは、そもそもその選択を発生させない。

これは、日常の中で考える時間という「判断コスト」を感じるかどうかの違いでもある。


なぜPixel 10 Pro Foldの「相棒感」が強いのか

Pixel Foldを使っていて感じるのは、相棒感だ。
特に携帯性と最新AI機能に優れている。

相棒とは何か。

  • 常に一緒にいる
  • 役割を切り替えてくれる
  • 「持つかどうか」を悩ませない

Pixel 10 Pro Foldは、

  • スマホとして常にポケットにあり
  • 必要なときだけタブレットになる
  • 最新AI性能が優秀(Googleの最新AI「Gemini」に最適化、リアルタイム翻訳や高度な写真・動画編集(AI消しゴム等)などのオンデバイスAI機能が利用可)

選択を要求してこない。

一方 iPad は、

  • 今日は持っていくか
  • 何かクリエイティブなことするつもりか

を毎回問いかけてくる。


iPadが悪いわけではない

誤解してほしくない。

iPad Pro M2は今でも圧倒的に強い。

  • 動画編集
  • ペン入力
  • 本気の創作
  • 外部ディスプレイ作業

いわゆる動画編集やイラスト制作など、クリエイティブな作業に適している。

ただし、それらは多くの場合「外でやらなくてもいい作業」だった。


比較まとめ

特徴 Pixel 10 Pro Fold (Tensor G5)iPad Pro M2 11inch(第4世代)
主な用途携帯性重視、AI活用、日常の多機能クリエイティブ作業、大画面、動画編集
チップ性能最新スマホ級(AI特化)PC・プロ級(高負荷作業に強い)
防水性能IP68 (折りたたみ初)非対応
生体認証指紋認証Face ID
利点ポケットに入るタブレット圧倒的なアプリエコシステム(Procreate等)

結論:選んでいるのは性能ではなく、タブレットの思想

もし聞かれたら、こう答える。

iPadは
「大画面のタブレットでクリエイティブなことをしたい」を選ぶ人の端末。

折りたたみスマホは
「ポケットにタブレットを入れて移動したい」を選ぶ人の端末。

Pixelを使ってわかったのは、移動中はPixelの方が圧倒的に使い勝手がいいということだった。


おわりに:あなたはタブレットで何をしたいか

あなたが目指したいのは、

  • クリエイティブなことがしたいか。
  • それとも移動中にできることを増やしたいだろうか。

デバイス選びは、結局のところ 自分のライフスタイルやライフワークに左右されるのだと言える。
別記事でも執筆しているが、筆者の場合はクリエイティブなこともやりたいのだが、Android端末でTermuxやMacroDroidなども使用した開発や自動化にも興味が強いため、Pixel 10 Pro Foldの方が適していると考える。

結局のところ、選んでいるのは性能ではなく、どんな思想の端末と日常を過ごしたいかなのだと思う。


次回予告(自然につながる)

次は、Pixelをメインにした結果、iPad Proを手放すのか
その判断と、作業環境の再設計について書く予定だ。